メニュー

猫による皮膚病1 猫咬傷

[2022.09.06]

こんにちは。院長の牧野です。

最近は猫を飼う人が多くなっていますよね。そのせいか、最近猫がからんだ皮膚病で受診された方がいらっしゃいました。

一人目は飼い猫に右手を噛まれて、翌日から手が腫れてきたとのことで受診されました。右手の噛み口は塞がっていて、手は赤く腫れ、右肘まで炎症が波及していました。これは、猫の口の中にいる常在菌Pasteurella multocicaによる感染症を疑いました。この細菌は私がまだ医師なりたての頃に、敗血症で亡くなった方がいるので注意するようにと、厚生省から言われたことで話題になりました。この時から私は猫に近づかないようになりました。この患者様には、ペニシリン系の抗菌剤を飲んでいただき、3日後には赤みはなくなり治ってきていましたので、引き続き抗菌剤内服を続けて頂きました。

猫の歯は、犬と違って、尖っていて細いので、噛んだ時に皮膚深くまで細菌が運ばれて、噛んだ後はすぐに傷が塞がってしまいます。そのため、噛んだ所を洗浄しても、皮膚の深いところで細菌がぬくぬくと増殖しやすいんです。この方は幸いにも膿瘍(うみ)ができていなかったので、皮膚切開は必要ありませんでしたが、以前経験した方では皮下に膿瘍が広がっており、入院して何度か切開して、何度も洗浄して、やっと治った経験があります。こういった状態にならないためにも、噛まれたら傷が塞がらないうちに皮膚科を受診することをお勧めします。当院では、皮膚の深いところに膿がたまらないよう処置(傷が塞がっていなければ、痛みがない処置です)をします。

猫に噛まれたときは、見た目は大したことがなくても、皮膚の中で細菌が育っているかもしれません。噛まれたときはすぐに受診してください。

次回は猫に引っかかれたお話を予定します。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME