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左腕のかぶれ?

[2022.05.11]

本日、左腕がかぶれたと訴える方が来院されました。痛くも痒くもないそうです。草むしりでもしていたのかなと思って、腕を見てみると前腕の内側だけに赤みと水ぶくれがありました。左肩や左上腕も見せていただくと、同じように赤みと水ぶくれがありました。帯状疱疹と診断しました。

帯状疱疹は、子供のときになった水痘(みずぼうそう)の原因である水痘・帯状疱疹ウイルスが体に潜伏しており、季節の変わり目や体にストレスがかかった時、免疫が落ちた時に再活性化し発症するウイルス感染症です。ウイルスは神経に潜伏しているため、まずは神経に沿って広がっていき、かゆみや痛みで発症します。その後、数日たってから皮膚にウイルスが広がってきて、赤みや水ぶくれを生じ皮膚科を受診します。まずは神経症状がでてくるので、頭部の帯状疱疹では脳神経外科など、体や腕や脚の帯状疱疹では整形外科を受診し、画像検査もされて異常がないと言われて、痛み止めの飲み薬や湿布をもらっていることが時々あります。また、湿布をはっている部位に赤みや水疱ができるので、湿布でかぶれたと思って受診する方もいらっしゃいます。帯状疱疹の特徴は、片側性(神経は左右でわかれているため)、疼痛、水ぶくれです。これらの症状に一致する場合は、帯状疱疹の可能性が高いと考えます。

帯状疱疹は抗ウイルス薬内服や点滴を1週間すれば病気の活動性はなくなり、2,3週間ほどで治ります。自然放置していても自分の免疫で治るのですが、放置しておくと症状が強くなり、炎症によって神経が障害を受け、1ヶ月ほど経過しても痛みが治らない神経痛が残ることがあります。これは厄介な神経痛で、何年も通院する方もいらっしゃいます。神経痛を残さないためには早期診断早期治療が重要です。急に片側性で疼痛のある水ぶくれができた方は、できる限り早く皮膚科を受診することをおすすめします。

帯状疱疹は80歳までに日本人の1/3がかかるといわれており、特に50歳以上の方は発症リスクが高くなります。もともと帯状疱疹の予防のための弱毒水痘生ワクチンはありましたが、最近発症予防効果、神経痛予防効果、長期予防効果に優れた不活化ワクチン(シングリックス®も登場しました。2ヶ月以上あけて2回打つ必要があること、高価(20000円×2回)であることがネックですが、帯状疱疹、神経痛を予防したい方(50歳以上の方に推奨されています)は接種してもよいかなと思います。いずれのワクチンも法で定められた予防接種ではないため、保険の適用がなく、自費負担となっています。

当院でも事前に予約が必要ですが不活化ワクチンを投与可能です。不活化ワクチンは高額ですが、自治体によっては助成金が出ますので、一度確認してみて下さい。

気軽にご相談ください。

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